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リボルバー
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』以来のプロデューサー、マシュー・ヴォーンから離れ、ヒットメーカー、リュック・ベッソンと初めて組んで製作された複雑系クライムムービー。 カジノ王マカの罠にはめられ投獄された凄腕ギャンブラーのジェイクは、獄中で出会ったチェスの天才と詐欺の達人から究極のペテンのテクニックを学ぶ。 出所後、ゲームの席で無敵の存在となった彼は、恨みを晴らすためマカのカジノに乗り込み圧勝して大金を巻き上げる。さらなる復讐を恐れたマカは、百発百中の殺し屋を雇い、ジェイク抹殺の命を下すことになるのだが……。 今や“新世紀のアクションスター”ともてはやされる主演ジェイソン・ステイタムを称するとき、「ガイ・リッチーの長編処女作で俳優デビューし彼の作品に出続けている」というよりは「リュック・ベッソン製作『トランスポーター』の主人公でブレイクした」といった方が一般的には伝わりやすいかもしれませんね。リッチーとしては、自分が見出し育て上げた感のステイタムを、“おかぶを奪う”カタチで超メジャーにした相手ベッソンとの、やるせない協業ではなかったのかと。
2009.10.25(Sun) - Review on
スウェプト・アウェイ
イタリアの女流監督リナ・ウェルトミューラーの名を高めた1974年の名作『流されて…』を、ガイ・リッチーが、妻であった マドンナ主演でリメイクしたラブストーリー。彼女が愛する相手ジュゼッペを演じたのは、『流されて…』で同じ役だった名優ジャンカルロ・ジャンニーニの息子アドリアーノ・ジャンニーニ。二世代にわたり同じ作品で同じ役を演じるって珍しいですよね。 ギリシャからイタリアへ向かうプライベートクルーズ。客船をチャーターした金持ちのアメリカ人カップルたちは豪勢なバカンスを楽しんでいたが、夫との仲が冷え切っていた夫人アンバーだけは機嫌が悪く、ことあるごとに不平不満を漏らしては船員のジュゼッペに八つ当たりする始末。 そんな中、彼に無理やり命じて出艇した船が嵐に巻き込まれてしまい、アンバーとジュゼッペは無人島に流されてしまう。金も地位も通用しない掟に身をおくことになったふたりの関係は逆転し、そして、愛が芽生えていくことになるのだが……。 「公私混同も甚だしい」として、ゴールデンラズベリー賞(アカデミー賞授賞式の前夜に「最低」の映画を選び表彰する)5部門に輝いた作品。そこまで駄作だとは思わないのですが――――。
2009.10.25(Sun) - Review on
スナッチ
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の大ヒットで監督しての評価を得、ポップスの女王マドンナとの結婚でその名が世界に知れ渡り、ハリウッドのA-リスト(1作品の出演料が2,500万ドルを超える)スター、ブラッド・ピットが破格の値段で出演を快諾したという――――おそらくガイ・リッチーの絶頂期に作られた作品。スタイリッシュな映像、小気味いいテンポ、クールな音楽は前作同様で、さらに磨きがかかっています。 ロンドンの下町、イーストエンド。非合法ボクシングのプロモーターであるターキッシュとトミーのコンビは、裏社会で名を売ろうとノミ屋の元締めトップに言い寄り、彼のために八百長試合を仕込むことになる。 “負けボクサー”を探すためパイキー(方浪人)のキャンプを訪れたターキッシュたちは、適役の青年ミッキーを雇うことに。しかし彼が試合で相手をノック・アウトしてしまったことから、トップの怒りを買い彼の一味に追われるハメに……。 ブラピがイイですね。下積みが長かったシネ・フィルの彼は、スターになってからもキチンと自分の目で出演作品を選んでいる。そういう姿勢に共感して本作を観たファンは多いんじゃないかな。
2009.10.25(Sun) - Review on
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
Lock, Stock and Two Smoking Barrels イギリス映画界の気鋭監督ガイ・リッチーの長編処女作。その緻密な脚本により構成された周到な演出は、最後の最後まで観る者の目を画面にくぎづけに。CMやミュージック・クリップで培ってきたリッチーのスタイリッシュな映像観が大きく評価され、本国イギリスでは年間興行成績1位を記録しました。 労働者階級とギャングが共存するロンドンの下町、イーストエンド。カード賭博の切れ者として知られるエディは、チンピラ仲間3人と共にギャングの顔役として町を牛耳るハリーを相手に勝負を挑むも、 完敗してしまい50万ポンドの借金を作ってしまう。 1週間以内に返済をしなければ指をつめると脅迫されるエディたち。金集めに窮する4人は、麻薬売人たちのマリファナ工場襲撃計画を偶然盗み聞きし、彼らからそのブツを横取りして借金の埋め合わせにしようと企むのであったが……。 エディの父親役で出演しているのはミュージシャンのスティング。リッチーの才能に惚れ込んだ彼は、本作への投資家としてもクレジットされています。
2009.10.25(Sun) - Review on
ライフ・イズ・ミラクル
民族色の強い『アンダーグラウンド』+どこまでも楽観的な『黒猫・白猫』÷2=のような作品。ユーゴスラビア内戦下にあるボスニアを舞台に、捕虜として軟禁した女性と恋に落ちてしまう中年男の姿を通して戦争の悲惨さを描いた本作は、カンヌ国際映画祭でフランス全国教育制度映画賞を受賞しました。 内戦前夜のボスニア。鉄道建設のためこの地にやってきた技師のルカは、妻ヤドランカとひとり息子ロシュの3人で平和な日々を過ごしていた。しかし戦争の勃発と共に、ヤドランカは浮気相手と駆け落ちしてしまい、ロシュは戦争に駆り出され敵側の捕虜になってしまう。 苦悩する彼の下に、息子との捕虜交換要員として敵側のムスリム人女性サバーハが連れられてくる。彼女を軟禁することになるルカだったが、奇妙な共同生活を送るうちにふたりの間には愛が芽生えていくことに……。 戦争の悲劇なんて笑い飛ばしてしまえ!というクストリッツア・ワールド全開の快作。「本当に悲しいと感じるとき、人は笑いたい衝動を願う」――――そんな感情の本質に気づかされます。
2009.10.25(Sun) - Review on
スーパーエイト
クストリッツァが、かねてから親交のあったミュージシャン、ネレ・カライリチと結成したエミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ。『黒猫・白猫』以降、ほとんどのクストリッツァ作品の音楽を担当することになるこの未来系バンド8人組が、ヨーロッパ各地でのライブで大絶賛を受ける様を、自らが監督として撮ったロード・ムービーの秀作。 バルカン半島の伝統音楽をベースに、ジャズ・ロック・ラテン・スカ・パンクなど多様なジャンルのエッセンスを融合させた彼らのサウンドは、オリジナリティあふれていてとっても新鮮。“Unza Unza(ウンザ・ウンザ)”という独自の4分の2拍子ビートは、思わず東京スカパラダイスオーケストラを髣髴させます。 数多ある音楽ロード・ムービーの中でも、監督がメンバーの一員として自らの姿を撮るという作品はボクの記憶の限りなかったような――――。このジャンルの中での評価としては、ジャームッシュ『イヤー・オブ・ザ・ホース』以上、ヴェンダース『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』以下という感じでしょうか。
2009.09.25(Fri) - Review on
黒猫・白猫
ボスニア紛争を目の当たりにし、母国の姿を憂い作らざる得なくして作った――――クストリッツァに2度目のカンヌ国際映画祭パルム・ドールをもたらした――――前作『アンダーグラウンド』。その政治的メッセージの強さに賛否両論の議論が沸き起こる中、そんな論争に嫌気が差して映画界から引退していた彼がカムバックすることになった作品。そしてその作風は、当て付けの様にメッセージ性を一切排除した見事なまでのコメディに変貌していました。 ドナウ川のほとりで生活するジプシーたち。そのひとり、どうしようもない博打好きのマトウコは、自分の借金を帳消しにするため、貸主であるヤクザのダダンから彼の妹アフロディタと自分の息子ザーレを無理やり結婚させるという条件を強要され仕方なく了承してしまう。 結婚式の当日、実は孫が結婚を望んでいないことを知った祖父のザーリェは一計を案じ死んでしまうも、マトウコはその遺体を屋根裏部屋に隠して結婚式を強行するのだったが……。 主役の数人を除いて出演者は素人のジプシーの人たち。その素のままの、陽気で人間味あふれる姿がなんとも生き生きとしてスバらしい。
2009.09.25(Fri) - Review on
アリゾナ・ドリーム
ヴェネツィア、カンヌ、カンヌと国際映画祭で立て続けに受賞を収めヨーロッパを代表する監督へと名を上げたクストリッツァが、大学の映画学科の講師として移住したアメリカで、当時の教え子であるデイヴィッド・アトキンス(後に映画監督として活躍)から提出された脚本を採用し彼の地を舞台に撮った作品。 ニューヨークの漁業局に勤めるアクセルの下に、故郷アリゾナに住む伯父レオの使いの者だという男レオが訪れる。彼の役目は、レオが結婚するにあたり、甥であるアクセルにその介添人を依頼しアリゾナまで連れ帰ることだった。 急な出来事に戸惑いながらも故郷に戻ったアクセルは、なりゆきでレオが経営するキャディラックのディーラーで働くことに。そんな彼の前に、夫を射殺した過去を持つ未亡人のエレインと自殺願望のある義娘のグレースという奇妙な母娘が現れるのであった……。 いわゆるアメリカン・ドリームを、異邦人的視点で描くとこうなりますという作品。観ていて違和感を覚えた人は、心がハリウッド色に染め上げられてしまっているかも。
2009.09.24(Thu) - Review on
パパは、出張中!
カンヌ映画祭でのパルム・ドール2度受賞に加え、世界3大映画祭すべてにおいて監督賞に輝いたという稀有な監督であり、一方では自身のバンド、エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラで音楽家として活躍するエミール・クストリッツァが、生まれ故郷であるボスニア・ヘルツェゴビナのサラエヴォを舞台に、チトー大統領統治下の体制矛盾を痛烈に批判した作品。重厚なテーマを扱いながらもユーモア溢れる世界観を作り出す独自の演出が大きく評価され、クストリッツァ初のパルム・ドール受賞作になりました。 第二次世界大戦後のサラエヴォ。6歳のマリクは、父と母と兄そして祖父の5人で幸せな生活を送っていた。そんなある日、父親のメーシャが突然連行されてしまう。その理由は、彼がふと愛人に漏らした他愛ない国家批判が政府側の人物に知られてしまったからだった。 父親はどこに行ったのかと無邪気に尋ねるマリクに、母親のセーナは「パパは、出張中よ」と言うしかなかったのであったが……。 『黒猫・白猫』『ライフ・イズ・ミラクル』など後の名作に脈打つことになる“厭世ながらどこか楽天”というクストリッツァ・ワールドの芽が萌え出た原点的名作です。
2009.08.25(Tue) - Review on
それでも生きる子供たちへ
世界中で苦しむ子供たちの厳しい現実を訴えるため、7つの国の名立たる監督8人――――カティア・ルンド、ジョーダン・スコット、リドリー・スコット、スパイク・リー、エミール・クストリッツァ 、メディ・カレフ、シテファノ・ヴィネルッソ、ジョン・ウー――――がノーギャラで参加したオムニバスのチャリティ映画。子供たちの保護を目的とする国連機関「Unisef(国連児童基金)」と「WFP(国連世界食糧計画)」の後援の下製作された本作は、その配給収益の9割が両機関に寄付され、彼ら彼女らの権利向上のため使われることになりました。 生まれたときからHIVに感染し仲間からイジメにあう少女(アメリカ)、なんの躊躇なくマシンガンを抱える少年兵士(ルワンダ)、鉄くずを集め換金し日々をしのぐ幼い兄妹(ブラジル)……。辛くなる物語ばかりですが、一方でそれでもなお、ひたむきに生きようとする子供たちの姿――――まさに「それでも生きる子供たち」に心熱くなります。 本作で意外な一面を魅せたジョン・ウーが語った「私たちは子供たちを救う話をしているが、本当は子供たちが我々を救っているのだ」という言葉が忘れられない。
2009.08.25(Tue) - Review on
恋のためらい フランキー&ジョニー
世界中で上演された戯曲『Frankie and Johnny in the Clair de Luna』を原作者テレンス・マクナリー自らが映画用に脚色。製作・監督は大ヒット作『プリティ・ウーマン』でロマコメのひとつの牙城を築いたゲイリー・マーシャル。 詐欺罪で刑務所に入れられ妻と子供と別れた男ジョニーは、出所後ニューヨークのとあるカフェでコックとして働き始める。そこで出会ったウェイトレスのフランキーに心ひかれた彼は、猛烈に彼女にアタックするもフランキーは一向に乗ってこない。 そんな自分の冷たい態度にも全くメゲず陽気に振舞うジョニーの姿に心動かされたフランキーは、以前妊娠中に恋人に殴られて流産し、2度と子供の産めない体になってしまったことを彼に明かすのだったが……。 とってもとっても大人のラブストーリー。恋愛の痛みで挫折した経験者限定作品。草食系男子とか称される輩たちにこそ、ジョニーの有り様を観て感じてほしい――――恋は猛進あるのみだということを。劇中で使われているドビュッシーの名曲『月の光』が、なんとも憂いがあってステキです。
2009.08.25(Tue) - Review on
輝ける女たち
カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、ミュウ=ミュウ。フランスを代表する女優たちが世代を超えて共演した豪華作品。人生の下り坂を歩み始めた男の元妻・恋人・娘で登場する彼女たちの姿を称したかったのか、その方が商業的にいいと考えたのか邦題は『輝ける女たち』。実の内容は、とっても切なくてほろ苦い家族の再生劇です。 南仏ニースのキャバレー“青いオウム”で働くニッキーは、かつて一世を風靡した人気マジシャン。幼いころにアルジェリアから亡命した彼は、店のオーナーであるガブリエルに拾われ息子同然のように育てられていたが、ある日突然彼が自殺してしまう。 当然、自分が店を相続すると信じてやまなかったニッキーだったが、ガブリエルが残した遺言状には母親の違う自分のふたりの子供たちの名前が。これを機に、離れ離れになっていた家族が一堂に会することになるのだったが……。 美女たちの間で揺れ動く中年男ニッキー演じるジェラール・ランヴァンが渋い! エンディングで、ひとり寂しく歩くニッキーの姿にかぶるバート・バカラックの名曲『Make it easy on yourself』――――この選曲のセンスだけでも、ティエリー・クリファ監督は花丸。
2009.08.25(Tue) - Review on
アリスの恋
アメリカを代表する映像作家マーティン・スコセッシが、黎明期の1974年に監督し、翌年、彼の映画として初めて日本で公開された作品。 余談ですが、マイケル・ジャクソンの死後、追悼番組で必ずといっていい程流される『Bad』のミュージック・クリップを撮ったのがスコセッシということはあまり知られていません。ロック全盛期に青春時代を過ごしたこの巨匠が魅せる「映像×音楽」のバツグンのセンスは、60代半ばを過ぎて撮った『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』(昨年公開)でも健在でした。 突然の交通事故で夫を亡くしたアリスは、ある決意を胸に、住み慣れた地を離れ、ひとり息子のトムと共に故郷モンタレーに向けて旅立つ。その意とは、子供のころからの夢だった歌手になって第二の人生を歩み始めること。 しかし、30歳を過ぎたシングルマザーに世間の風は冷たく、仕方なくウェイトレスとして働き始めるのであったが……。 本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞したエレン・パースティンの独壇場。我が子のため、そして自分らしく生きるために孤軍奮闘する中年女性の強さ、優しさ、そして健気さを魅力的に演じています。
2009.08.25(Tue) - Review on
セックス・アンド・ザ・シティ
1998年から2004年の6年間にかけて、アメリカの大手ケーブルテレビネットワークHBOで放映されたテレビドラマシリーズを映画化。ニューヨークに生きる、生き方も個性も違う30代女性4人の恋愛・セックス・傷心そして友情の絆をモダンに描き、「SATC」の略語で社会現象にもなった物語の顛末が描かれています。 “セックス・コラムニスト”として名をはせたキャリーは、経済力のある理想の男性ビッグと結婚をするためオシャレなマンションを購入することに。準備万端な彼女を応援するのは、無二の親友であるPR会社社長のサマンサ、弁護士のミランダ、専業主婦のシャーロットの旧知の仲間たち。 しかし、結婚式当日になって、キャリーがこだわる見せ掛けだけのセレモニーに躊躇したビッグは、時間になっても会場に現れることはなく……。 本作公開に合わせ、配給元はDVDショップの店頭でテレビシリーズをセット化し、大々的な販売キャンペーンを展開して大成功を収めました。“アラサー”の女性を引き付ける、共感を覚えさせるような魔法が、本作にはあるようです。
2009.07.14(Tue) - Review on
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